消費税のそのさきに
4月1日から消費税等(※)が8%になる。システムの変更や、切替日を跨ぐ受注の扱いであったりとか2月は色々と準備にわたわたとしていた。この改正に伴せて、生活必需品などの一部の品目についての軽減税率もやんわりと検討されてるようだ。今回の改正では単一税率のままではあるが、今後も消費税増の方向へと進むとなるときっと頻出する話題だろう。軽減税率は既に実例が幾つかあるので、そんなに悪いことではないと思うのだが面倒なことがある。日本のほとんどの業務システムは単一税率にしか対応していないことだ。
※消費税等=消費税+地方消費税(地方消費税率は消費税額の25/100。つまり1%だったはずが、4/1からは1.7%、17/63といったなんだか逆順に算出したような感じになる)
異なる税率の商品が混在する
内税式(総額表示)と外税式
消費税計算に慣れた民に対して遅れてやってきた総額表示義務が如何にナンセンスだったのかという話は置いといて、8%の場合の一般的な計算方法はこうだ。合計額に8/108を乗じて内消費税等を求め、合計から差引いて小計とする。一般消費者取引であればそれでよいのだろうが、単価1円未満の商品を取扱する部品メーカーをはじめ、企業間取引では問題が生じる。この場合は小計に0.08を乗じて消費税等を求め小計に加えて合計価格とする。
※総額表示の義務付けは、不特定かつ多数の者に対して予め価格を表示する場合を対象としているだけであって、見積や契約、請求書、業務ユーザに向けた単価表等については総額表示義務の対象とならない。
いずれも問題は、まとめて税を算出していること
品目が違えば税率も違うといったことを想定されていないので、これまで行ってきた帳票一枚単位での税計算には無理が生じる。であれば品目単位で消費税を計算し、どんどん積み上げていく方法が思いつくが、どうやら現在は経過措置として認められているだけで今後も有効かどうかよくわからない。そんな具合で途方に暮れていたのだが、輸入貨物のインボイスには品目の行ごとにVATの区分表示があるのをふと見て見つけた。表下部には各税率ごとの小計と税が記されている。これに習ってひとまずは課税・非課税の二値だけでなく、各商品に税率フィールドを追加さえしておけば、まあどうにかなるのではと思ったのだけれども、それでも一筋縄ではいかない例外を見つけて絶望した。
軽減税率の変な必需品基準
軽減税率といえば低所得者層や生活困窮者に対する措置なので生活必需品に限定される。しかし、どこからがどこまでが生活必需品なのかはとても曖昧だ。システム屋が頭を抱えるような基準があるので海外の有名な例を3つ紹介する。
クッキー イギリスの場合、チョコ付きだと贅沢品なので20%。 チョコ無しだと非課税。 これは個別に税率を設定すれば良いので問題ないか……
ハンバーガー ドイツの場合、お店で食べると外食なので19%。テイクアウトだと食品として7%。 テイクアウトで買って店内で食べるのが情強なのだろう。 イギリスの場合、冷凍品なら非課税。同じ冷凍品でもアイスクリームは贅沢品。 アイスクリームはかなり性質が違うので 同列に扱うのはさすがにフェアじゃないと思うけど。
ドーナツ カナダの場合、個数で消費税が変わる。5個以内なら外食として6%。 5個を超えると食品として非課税。その場で食べるかどうかなのだろうが、 大食い有利でもあるし、どうやら重さでは規定されていないのでドーナツを小さくするか、 或いはカットして販売すればいいのではないのかと思った。
ドーナツの例を考えると、商品マスタで5個以内のものと5個超のもので分けるべきなのか、或いは数量に閾値を設定して税率を持たないといけないくらい該当品が増えるのか……。日本が導入する場合はもう少しシンプルな区分けを心がけて欲しいところだ。それとは別にも、みりん風調味料や第三のビールみたいな網の目をくぐった残念な商品が溢れそうな気がして個人的には辟易してしまう。安いものができるとそれまでのものが無駄に高くなったりするので困ったところだ。贅沢性の観点ということであれば、どうせガリガリ君とハーゲンダッツの税率は同じなわけがないだろう。賞味期限もないし今のうちに買い占めることくらいしか、もうわかんなくなってしまった。