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死ぬまでにやったこと

NUITOというバンドを再開した その1

 



ヌイトはこんなバンド


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マスロックバンド・NUITOが約7年ぶり復活 - 音楽ナタリー

京都の伝説的マスロックバンドNUITO、活動再開 | BARKS



動機について

30代に入ってから体力がみるみる落ちている実感がやっぱりあって、それでは運動でもするかってことになり同志社のプールに通ったりしたんだけど水の中はめっちゃ息が苦しくて行かなくなってしまったので代わりにヌイトを再開することにした。


というより、体力やそれに伴う集中力の問題でいずれはできなくなるだろうから今のうちにやっとくかといったのが強いか。そうでなくともこういった体力消耗の酷いバンドをたとえば50代とかでやるとなるといよいよ滑稽さや、あるいは悲壮感を漂わせてしまうだろうし、もっと老いればマスターズ陸上みたいにバイアスを通して見られかねない。


いや、もう一つあった。会社を始める前にこのバンドをやっていたころ、つまり2009年の24歳の自分に戻りたい願望というか、戻ったらなにをしよっかなとか、誰に会ってどんな話したら面白いかなとか、このような不毛だとか心身に絶対良くないとかもはっきりと解りながらもしょうもない妄想をもう何年も行い習慣化している。そんでやっぱり憂鬱になってめっちゃ寝てる。安定極めたような暮らしが退屈なのがおそらく原因なのだろうけど、あのとき続けていたら今は楽しかったのなあとか……あれ、改めて考えてみると社会人のおっさんが若いころのバンド再びやってあの頃に戻ろうぜ的な活動と同じかもしれんと思ったけど書いててまったくその通りだから本当しょうがない。


いや、まだあった。自分は割と中身の無い人間だと自覚していてその上、そのような人物はいないほうが幾分マシみたいな強迫がある。他人と関わりを持つためには、せめて共通する活動行うなど媒介する何かが必要だと思っている。その場に存在することが許されないとまでいうと過剰かもしれないけれど、居座り続けたりできる勇気がないので端的に表すと同じだ。たとえば仕事でタイムカード押して周りがめっちゃ働いてるのに自分だけなにもしないのを毎日続けられないのと同じような感覚といえばわかりやすいか。そういった性質が自分にはなんとなくあるので、あるいは再び友人と呼べる人々が欲しかっただけかもしれない。現に7年の間、ホームと呼べるはずのClubMETROには近づくことすら出来なかったのがなによりの証拠だ。



復活発表からの発作

もともと自分はパニック障害を持っていて、閉鎖環境がとにかく苦手だ。たとえばエレベータも好きじゃないし映画館や高速道路といったものは強いストレスを感じる。テーマパークのアトラクションの様な、終了するまで自分の意思で中止不可能な環境はほとんどの確率で発作を起こす。抗不安剤を服用して挑むのだけれど、ラリった上になんだかんだ緊張して何が楽しかったんかよくわからんかったなあといったどうでもいい感想しか残らないことがよくある。実際USJきゃりーぱみゅぱみゅハリーポッターには殺されかけた。出番になれば逃げ場のないライブはそれと同様、いやそれ以上だ。ただ受動的に我慢すれば良いというものでもなく、高精度な演奏が求められる。したがって抗不安剤にすべて任せるというわけにもいかない。そんな僕だけれど復活を発表した3月の時点では時間的余裕もあってか、あるいは馬鹿だったのかこれに現実味をまったく省みることなく、まあなんとかなるだろとか根拠ない自信で余裕があった。しかしそれが大きな間違いだったことは数日後に思い知らされる。僕は7年の間で、弱くなっていたようだ。


HollowRanというカルフォルニアのバンドがいる。ある日、Facebook上で彼らからメッセージがやってきた。いわく自分たちはヌイト信者でめちゃくちゃ影響受けている、近日ジャパンツアーを行うのでお願いだから観に来てくれという内容であった。普段ライブを観に行くのはだるいし、音大きいのとか不快なので滅多に行かない僕だが、自宅からほど近いライブハウスでやることもあって重い腰をあげて観に行った。日本のゲームやアニメーションが大好きだといっていたので、お土産としてプリキュアのタオルを人数分買って持って行ったが、プリキュアの存在は知らなかったそうで非常に気まずい思いをした。この作品は平井さんのお気に入りですか?と訊かれたが正直に大嫌いと答えてしまい気まずさはより拍車がかかった。


この日、僕はめずらしくオープン時間から入場していた。1バンド目、アマチュア臭いバンドが登場した。あろうことか1曲目の出だしてトチってやりなおしていた。それを見た僕はもしこいつが自分だったらどうしようみたいな今考えるときわめて無意味な感情移入をしてしまい急な不安感に襲われ、まもなく強い発作が現れた。その日食べたものを超える量をトイレで吐いて、デパスをODギリギリまで飲んでようやく落ち着いて事無きを得たが、この一件以来、ライブハウスという環境でパニック発作を起こしてしまったという事実と、それに伴う予期不安が表面化し、同時に自信を完全に喪失した。


これが3月の中頃、ライブまであと3ヶ月を切った時点のこと。




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その2へつづく

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