hirausan

死ぬまでにやったこと

冬季うつや不眠症に効くと謳う『VALKEE』を自作した

やっぱりというか、今年の冬もやる気がなくて駄目だしどうにかならんもんかなと思って冬眠する方法を探してたらこういったものを見つけた。


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valk.jp


使うとSADが良くなるらしい。

これまでのブライトライト・セラピーでは目から光を受けるものが主流でした。
しかし最新の研究により、耳孔を通じて光を照射することによって日光浴と同じ効果があることが確認されました。


従来の光療法(高照度光照射療法)といえば目、少し細かくいうと視交叉上核を通して松果体を刺激して概日リズムを整えたりするものだが、どうやらこれは外耳道に光源を突っ込んで脳に直接光を届けることで同効果を得られるという。たしかにラットの脳に光刺激を与えて脳が反応してどうのこうのといった記事を読んだ覚えがあるけど、そもそも耳に光を当てても脳まで伝播してくれるのか想像つかないし、届いたからってセロトニンメラトニンが生合成されるのかわからない。エビデンス読んでも釈然としないし、なんかとても期待できそう。

つまり嘘か真かはどっちでも、いやどうでもいいんだけれど、耳になんか突っ込んでいるのって不快だし、定価3万円とやけに高価な割に製品画像を見てみるとバッテリー給電の光るイヤホンといった猿でも作れそうな代物だったのでさっさと作った。
(電子工作したことない人でも真似して作れるように書く)


使ったもの

カナル型イヤホンx1 必須 ハウジングが大きいと作業が楽
超高輝度白色LEDx2 必須 φ5 3.5V 20mA
抵抗x2 必須 電流制限用 82Ω
ケーブル 1m 随意 お好みで
熱収縮チューブ 随意 見た目を気にするなら
モバイルバッテリー 随意 過充電防止でないもの
USB/ACアダプタ 随意 上が無いなら
USBケーブル 必須 Type-A
ハンダ 必須 なんでもいい
ハンダごて 必須 常識的なやつ
プライヤー 随意 2本あると便利

購入したのは全部で1500円程。


白色LEDは超高輝度のものを使う。

Valkeeの仕様を見てみると光源から1cmの距離で照度が10,000ルクス以上、光束が最大3.5ルーメンとある。なんかとてもあやふやな感じがするけど、これらを超えるスコアを出すしかない。LEDの仕様は輝度、つまり殆どカンデラ表記なので些かややこしい。27,000mcdで半減角15度のものを選んだ。実に27万ルクス・5.78ルーメンである。(照射角は半減角二倍の30度で計算)色温度については公表されていないけれど擬似日光浴なんだから5000〜6000Kが良さそうな気がするんだけど10,000Kしか売ってなかったのでしゃあなしでこれを使う。面倒くさくてしかたないのなら超高輝度と書かれてるものを買えば大体正解だと思うけど直径1cmの物を選んでしまうと耳に入らなくなる。

保護抵抗値を計算しておく。

LEDはそのまま繋ぐと過電流で即死するので電流制限用に抵抗を付ける必要がある。抵抗値は電源とLEDの仕様による。

・保護抵抗を求める式
保護抵抗(Ω)=(電源電圧(V) - LEDの順電圧(V)) / LEDの順電流(A)

買ったLEDのVFは3.5Vで、IFは20mA、電源はUSBの5V。したがって『(5V-3.5V)/0.02A=75Ω』の抵抗値がこの場合なら理想。近似値をE24系列から探すと82Ω。コンパクトに仕上げたいので1/8Wとかの小さい抵抗を選ぶと作業が楽になる。

回路の概要

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こんなかんじ。USBから電源取って、LEDのアノード(足が長い方)に抵抗を付けるだけ。


作業の手順

1.イヤホンを外して中身を取り除く

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プライヤーを2本使うと楽に外せる。ダイヤフラムとかごちゃごちゃしたものは全部除去する。太めのケーブルを用いる場合は通す穴をなにかで拡張しておく。

2.LEDに保護抵抗をハンダ付けする

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出来る限りコンパクトなサイズになるようアノード側(長い方)の足を短く切断して取り付ける。ハンダ付けは汚くてもいいと思う。


3.ハウジングにうまいこと詰め込む

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それぞれの足にケーブルをハンダ付けしてうまいこと入れる。端子が触れる恐れがあればセロテープとかでいいので絶縁しておく。これをLとR分やるんだけど、二つ目になった瞬間に作業感を覚えてだるくなる。

4.USBから5V取り出す

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被覆を剥がすと4線でてくるので赤の+5Vと黒のGNDを使用する。データ用の白と緑は短く切ったりして殺しておく。


5.各ケーブルをハンダ付けして熱収縮チューブで仕上げる

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先の回路図通りにハンダ付けする。熱収縮チューブは外周になるにしたがって短くなるように3重くらい巻くと凹凸も気にならず既成品っぽい感じになる。

完成

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とても眩しいです。

問題点

これは盲点だったのだけれど、だいたいのモバイルバッテリーは過充電を防止するために消費電力が低い場合は停止するようで、LED2つ程度だと十数秒でこれが作動してしまう。ガンガン過充電するバッテリーを用意するか、モバイルは諦めてコンセントに挿すACアダプタを用いるか、あるいは回路の中に消費電力の高い、たとえばGPSユニットでも取り付ければ解決するはず。

使った感想

LEDがじんわり温かいせいか、耳の血行が良くなった気がする。目安使用時間は15分位らしい。せめて音楽でも鳴ってればいいんだけど、耳に何かを突っ込んでるのが不快で我慢できずに途中で取ってしまった。どうでもいいんだけど実はこれ、冒頭の一文は嘘で、会社のエンジニアが不眠症で悩んでるからと秋に作って渡したものなんだけど、足元のデスクトップPCの上に二ヶ月も放置されててすげえ悲しかった。


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